お知らせ
消費税のインボイス制導入で税務調査は変わる!?
国税当局も改正された制度を定着させるため、細かいミス等に関しては厳正な処分は行なわないと言ってあります。以前の改正時も消費税率の切替時の間違え(本当は8%で計算すべきとところを10%として処理した場合)など指摘されたことはありませんでした。また、今回、元々免税業者であった者が初めて消費税の課税を選択する場合、大幅な届出手続きの簡素化と申告計算の優遇措置等が取られています。期間限定ではありますが、以前より消費税を納めている業者からみると驚く程です。会計処理等がインボイス制度導入の昨年10月より手間がかかるようになって来てますが、多少の間違いは気にせず慣れて行くしかないようです。
今後予想されることは、多くの事業者が免税事業者との取引を減らす可能性が高いことです。当然免税業者との取引を継続する場合は、消費税分の値引を要求すべきでしょう。但し、現在は免税業者からの仕入(購入)は80%が控除対象になるから、そのことを考慮すべきです。(3年後は50%、6年後は控除がなくなるので、そのときは消費税相当額全額となるでしょう。)当然のことですが、インボイス発行業者から購入しても、免税業者から購入しても本体価格は会計上及び法人(所得)税法上の利益には変わりがありません。対象となる消費税相当額だけ負担が増えるのです。しかしながら、会社の経理からは処理が大変になるからなどの理由で、出来るだけインボイス発行業者から仕入(購入)するように言われるでしょう。結果として課税仕入が多い業者は免税業者との取引をしなくなるでしょう。もしも、全ての事業者がインボイス発行業者になれば会計処理も簡単になり、やがて普及すると考えらるデジタル・インボイスにも大変都合が良いでしょう。ですが、一定数の免税業者は存在し続けるでしょう。
インボイス制により過度な節税(脱税?)が難しくなることが考えられます。昔から悪質な業者は利益が想定以上に出た(出そうな)場合、接待飲食や修繕等や10万円未満の備品消耗品等領収書等をどこからか(大抵は知り合いや下請け業者等に頼んで)集めてきて、申告期間の経費等に混入させる場合がありました。今後も零細な免税業者等は協力するかもしてませんが、インボイス発行業者は協力がやりにくくなります。インボイス制度は、売手による消費税の納税がインボイスによって証明された場合に、買手において仕入税額控除を認める厳格な制度です。したがって、偽インボイスの交付は厳しく禁止されており、違反行為を行った者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処すると消費税法に規程されています。だから、簡単にインボイス番号の付した領収書等の発行は出来ないものです。インボイス発行業者の登録(消費税法上は「適格性請求書発行事業者の登録申請書」)に当たり、登録要件の確認欄に「消費税法に違反して罰金以上の刑に処せられたことはありません はい・いいえ とあり、 いいえの場合 その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しています。はい・いいえ」とあります。つまり、消費税で違反した業者は2年間インボイス発行業者になれない(戻れない)のです。その間、消費税上は課税業者(課税売上1千万円以上)であれば納税義務はあるが、他の業者との取引はインボイス発行業者でないため、取引に制限を受ける可能性があります。そのようなリスクを冒してまで、偽インボイスを発行する業者は少ないと思われます。インボイス発行業者の責任は軽くないのです。手続きのことが問題視されますが、こちらも十分に考えないといけません。
令和6年2月度 247号(R06.02)
消費税のインボイス制導入で税務調査は変わる!?