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意識し考えながら行う仕事とルーティンで行う仕事
仕事は大きく2種類に分類することができる。繰り返し行われるものと、時々しか発生しないものです。これは、トレーニングすれば誰でも出来る仕事であっても、特別な才能や経験が必要な仕事においてもあり得る。新人は繰り返しの仕事がこなせるようになって一人前と思うし、ベテランは希な仕事がほぼ出来てプロを実感するだろう。
意識を使い考えて行う仕事のほうが価値が高いと考える人がいる。しかしながら、どんな仕事であっても初めて行うものは時間が掛かり、肉体精神両方から疲れるものである。これは自動車の運転を考えれば分かるだろう。自動車学校で指導教官から怒られながら、それでも大変だったのが慣れるといつの間にか他のことを考えながらでも運転できるようになる。だからルーティンな仕事はいちいち考えず意識しない(無意識)で行うようにしなければならない。これには習慣化とパターン化が必要だ。
習慣化は、ある一定量をある一定期間繰り返せば身に付けることができる。多少の個人差はあるかも知れないが。これもスポーツのフォームのように、望ましい標準を強制させたほうが、我流で身に付けるより早く上達する。マニュアルやトレーニングは会社で用意するのが望ましい。ただ、比較的単純なものを続けるのに苦痛を感じる人も多い。自分で楽しみながら出来る工夫があれば良いし、周囲の励まし等も有効だろう。そのほうが早く習慣化できる。批判や罰等は望ましくない。
パターン化は、一般的に良くあるものを標準化し学習することです。学生時代、例えば数学などで計算問題を解くとき、公式を覚えていれば早く解けるという経験があっただろう。ところで仕事が遅い人は、些細な違いにこだわり、パターン化出来ず、手順等を丸暗記しようとするようです。だから応用が苦手です。原理原則や共通点、目的などを意識させればパターン化できるようになるだろう。
人は意識を使って考えながら仕事を行うのには大変なエネルギーを費やす。だからこそ、人(もちろん全ての生物も基本そうだが)は、楽なルーティンの仕事を好む。危機を回避するために本能的に余力を残しているのであろう。従って、本当に良い仕事をやろうと思えば、つまらない 思考を使う仕事を減らすか、あるいは仕事を細かく区分化し、その一部をルーチン化したり外注化することだ。これは、コンピュータやロボット、AIが得意だろう。例えば、昔は設計などで図面を作成するためには、線を引くトレーニングが必要だったが、今はCADなどで簡単に出来る。文書作成などもオリジナルがあれば、部分的に修正して応用が出来るし、ChatGPTなどの生成AIが普通に行うようになりつつある。出版物の翻訳の仕事は、粗訳を外注に数ヶ月かけてやってもらったものを仕上げると言うやり方が有ったようだが、最近は、その部分を月額数千円の有料AI自動翻訳を使い、僅か数分で完了するような話がある。過去の知識や情報を集めることもコンピュータの支援無しには出来ない。
ところでAIは、未来の全く新しいことを想像することや、直感や感情に基づく決断は得意でないようだ。優等生の模範回答のようで中身が薄いとも言われる。従って、多くの仕事がAIに取って変わることは直ぐにはこない。しかしながら、ただ楽をするために、頭を使って考えたり意識したりする仕事を避け、ルーティンな仕事を多く行っている人にとっては不安材料かもしてない。
意識し考えながら行う仕事とルーティンで行う仕事を上手に使い分けるのが大切であろう。
令和6年5月度 250号(R06.05)
意識し考えながら行う仕事とルーティンで行う仕事