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2024/07/10
令和6年6月度 251号(R06.06) 立場により異なる視点・視野!
立場により異なる視点・視野!
新人とベテラン社員、あるいは管理職と役職のない平社員との間で、仕事上の意見交換や話し合いがある場合、話がかみ合わないことに時々出くわすことがあるだろう。ほぼ共通の価値観や重要性・理解など相手も認識しているはずなのに、協力が得られなかったり、反対意見を表明したりする。その原因の1つとして立場による視点や視野の相違が考えられる。
表面上、意見が真っ向から対立する場合であっても、じっくり話を聞けば、目的の認識に大した違いはなかったりする。戦術である手段や進め方が一致しないだけであることが多い。同じものを見ていても、立場によって見え方が違うからだろう。当然、立場により責任や影響力が違うので、思考の範囲も違ってくる。新人であれば、自分あるいは直接関わる仕事や部署が対象である。中間管理職であれば、部門など任されているところまでで良い。しかし、経営者等は組織全体や関連する取引先、場合によっては地域社会等まで対象とする必要がある。時間軸も、新人は今から行う目の前の仕事に注意を払えば良いが、役職の上位者になれば、週単位、月単位、更には数年先まで必要に応じ対象としなければならない。未だ起こっていない将来に思いをはせるのが経営者の重要な仕事でもある。
一般に人は権限や責任のないところに対して真剣に思考を巡らせることは少ない。そして無責任な一般論を言ったりもする。しかし、自分に影響のあるところには関心が強くなる。特に自分だけの負担が多くなることを嫌う。周りが見えないと守りに入る。お人好しで周りに配慮し過ぎたり、気弱で相手の無理を断れなけれは1人だけ負担が増えて大変になると考える人もいる。そして、その調整は上長の仕事だと思う。さらに、自分の仕事に当事者意識が不足すると、単なる作業になる。そうなると、関心は怒られるようなミスをしないこととなる。これではいけない。球技のプロスポーツを見ると分かることだが守備範囲は広いし、バックアップもアマチュアと大違いである。自分の責任範囲は当然で、周囲にも関心を払うことが出来るのが上級者である。たまに、相手の立場や上位管理職の立場は、実際その立場になってみないと分からないと言う人がいる。なる前から想像力を働かせてシミュレーション出来なければ抜擢されることは少ないだろう。
見え方が違うと、当然優先順位の付け方も違ってくる。以前テレビ番組で、多発的大規模火災の模擬訓練で、一度派遣が決まった消防車を別の現場へ移動させたり待機させるなど指令責任者が苦労しているのを見たことがあります。医療現場でも「トリアージ」と言って、多くの傷病者が発生した時など、治療の緊急性や症状の重症度によって分類し優先順位を決めることがあるそうです。
また、対処療法で一次的に凌ぐ、かわす(改善、改良)場合と、根本原因を取り除く対応(改革)も、立場によって取れる方法が違ってきます。当然、予算や権限から下位の者は制限させます。手に負えなければ上司に報告するだけの場合もあります。
立場により視点・視野が異なる可能性があると知った上で、日頃からコミュニケーションを十分取りトラブルを減らす努力は必要です。また、相手の立場に立つことは、意識してトレーニングを続ければある程度は分かるようになることと思います。
令和6年6月度 251号(R06.06)
立場により異なる視点・視野!