お知らせ
新型コロナの影響も治まり、税務調査も本格的に再開されているように思われます。先月は3件有りました。税務職員の新年度異動は7月頭なので今年は出だしとしては多いようです。今月は、税務調査で問題点が指摘されないような、会社の取引や処理についての考え方や工夫について取り上げます。
①まず社会通念上の常識が基準となる。従って、許容範囲を超える場合は要注意。
自動車運転の場合、制限時速40キロメートルのところを、55キロメートルでは滅多に捕まらないが
70キロメートルでは免停の確率大でしょう。これと同じでグレーゾーン(事業に関連するかどうか不確かな経費など)では回数や金額が目立つと否認される可能性が高くなります。役員の過大退職金や受取った高額の傷病保険金の全額支給なども一部否認される場合があります。超えているとされる額は同業他社のサンプルから根拠を示されます。納税者側からは比較対象のデータを知りようがないので困惑します。あるフランチャイズ加盟店で交際費が多いとの指摘があり、税務署管内の数十件の店舗の平均と比較して20倍以上で問題ありと指摘されています。ところで、売上と原価の対応関係は厳密に検討されますが経費はやや緩い。通常1~2月分の消耗品等を少し余分に、末に注文しても否認は少ない。
②税務署の考える常識は比較的範囲が狭い(限定的である)。拡大解釈は禁物。
必要経費は事業に直接要したものに限定される傾向がある。作業服等は通常作業現場のみ使用するものであり、営業が外回り以外でも使用可能なスーツは不可となる。美容院のセット代はホステス等は必要経費となり、店舗接客も行う事業主の奥さん分は不可。店舗付き住宅の個人事業主の町費は個人負担が無難。修繕費は現状維持部分が原則。破損箇所部品の取替・補修のみです。特に固定資産の耐用年数延長に繋がる10万円を超える修繕費は要注意。一度、固定資産に計上して減価償却分のみ当期の経費にします。但し、マンション建物等の足場を組んで行う大規模な防水吹き付け塗装工事は金額に関わらす修繕費にできます。高額なホームページ作成改修費用なども注意がいる。
③社会通念上の常識の超えていても、事業に必要な支出が事実であり資料等で明確なら認められる。
少し前に社用車は4ドアのベンツはOKだが、スポーツタイプの高級車は否認されるかも?と書いた本があったようですが、事実か分かりませんが、ある会社の高級自動車好きの社長さんが超高級車を計上して認められたとか。高級車は数台持っていたが、社用での使用は帳簿に計上した車のみに限定し、経費等も混同なく限定し記録等も残していたら税務署も渋々認めたとかありました。これとは反対に、会社で福利厚生を名目としてゴルフ用具一式を購入し計上していたところ、調査で社長の給与とされました。社長は社員との共用品だと主張しましたが、利用貸出簿などもなく、もっぱら社長個人が使用している可能性が高いとみられて否認されました。納税者側が有利な事実は実証できなければ一般論で処理されてしまいます。例えば、視察研修旅行などでは、スケジュール表、研修レポートなどを作成保存してあれば、一部観光が含まれていても全てOKとなる可能性が高くなります。
④現金取引、手書きの市販請求書・領収書等、人件費、外注費、高額な経費支出は注意
これらは漏れや不正に繋がることが多いので税務調査官はしっかりと見られます。手書きの領収書などは筆跡や汚れ具合などにも関心が払われます。同一人物が同じ時期に作成した可能性は無いかなどいろいろです。高額な経費は請求書等で内容を確認しておくこと。また、契約書、議事録、保険証券などのチェックも忘れずに
令和6年9月度 254号(R06.09)
税務調査を意識して、会社の取引や資料帳票の整理および会計処理を行おう!