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2024/12/07
令和6年11月度 256号(R06.11) 事業経営において「言霊(ことだま)」など意識する必要はない!?

令和6年11月度 256号(R06.11)

事業経営において「言霊(ことだま)」など意識する必要はない!?

 責任者や現場担当者が、仕事上起こりうるトラブルを不安からうかつに口にしたら、実際に起こって大変だったと言うような話がある。多くは、偶然で済ませられるものだろう。しかしながら、冠婚葬祭などで使っていけない言葉などを知らずに使用すれば常識が無い人と軽蔑されるだろう。特にお祝いの席で縁起の悪い言葉はもってのほかである。日本では無意識の言霊信仰が言われることも有る。

 一般に仕事は、予定された作業等を定まった方法や手段を用い順番に終わらしていく、最後まで進めば完了となる。製造業ではネジ一本かけても不良品(失敗)となるが、相手が生き物(人の場合も多い)でサービス等の提供などは、行う作業等は毎回微妙に異なる。しかしながら、作業等の本質は変わらない。選択肢があるような仕事でも無限に選択肢があるわけでは無く、予め用意されているものへと誘導させられ完了(終了)の方向へ導かれる。もちろん、標準(基準)通りに行かないこともあるが、これに対しても、大抵はその対処方法が用意されている。さらに、管理者・責任者等が経験の少ない現場担当者の対応の支援・指示を行ったり、場合により自ら処理対応に当たることになる。

 もちろん新しい事業やサービス等を始めた場合、経験不足から予想外の不具合も多く発生するが、次第に経験の学習により、通常の対処法の一部に組み込まれていく。長くやっている事業者や大規模で展開している事業者は、ノウハウの蓄積が進み商品サービス等の品質が安定し向上するだろう。

 対処に違いが現れるのは、中小零細企業等で日常の活動を回すのに一杯な事業者と、問題意識を持って仕事に取り組んでいる事業者や大手事業者だろう。滅多に起こらない事態や想像を絶するような大変な状況が発生した場合だ。全く無対策の体制では、呆然として何も出来なかったり、諦めて成り行きに任せることとなるだろう。また、災害が発生しそうな状態で現場に近寄るような無謀な行動も考えられる。クレーム処理なども、時間が掛かり過ぎたり、対応を誤ると大変なことになる。

 ところで、こうした事業を危機に陥らせるような事態は全く予測不可能なものだろうか。いや、可能性は低くてもあり得る。「但し自分ではない。自分はリスクから何とか逃れられるだろう。なんとかなる」と考え、準備を怠ってきた結果が悲劇を引き起こす。

 ところで、誰でも交通事故や火災に遭わないと想っていても大抵は損害保険に加入している。つまり、万が一のため、対策を取っているのである。また、避難訓練等に参加したことがある人もいるだろう。これは、災害発生時の混乱した状況で、より安全な行動が自然に行えるように体に覚えさせているものだ。つまり、状況を想定し準備することにより、リスクを無くしたり減らしたりすることが出来る。

 また、ビジネス上のリスクは、上手く行きすぎた場合も起こりうる。例えば、売れすぎて商品が欠品となったとか、注文がさばききれないなどである。準備があればお客様の不満を減らすことも可能だ。

 冒頭の言霊についてだが、世の中には一定数の不安過敏傾向の人がいる。失敗やリスクに関して想像しただけでパフォーマンスが低下したりもする。これを和らげるには具体的なリスク対策を出来るだけ増やし、リスクや失敗が発生しても大したことにならないと指導教育することだと思われる。無対策で漠然とした不安は拡大する。対策があるから安心だと理解すれば、不安は縮小・解消するだろう。

 私は「言霊」はある種の暗示のようなものと思います。不安を口に出せば不安が増します。しっかり対策を行いましょう。逆の対策無しの「大丈夫、上手くいく」のほうが問題かもしれません。